百越の会
ベトナムなどでのフィールド調査を中心とした研究成果についての研究会です。
趣旨
ベトナム戦争は20世紀東南アジア大陸部の構図を大きく変えました。その痕跡は研究面にも大きく、その時期を境として、ベトナム、ラオス、カンボジア、ビルマ(ミャンマー)などの東南アジア大陸部の社会主義諸国において、外国人が現地調査を実施することは困難になりました。しかし、1990年前後にそれらの諸国家が市場経済化政策を導入して以来、これらの地域における現地調査も再び行われるようになり、東南アジア研究は新局面を迎えました。ベトナム戦争当時のさまざまな政治運動を直接知らない世代の研究者が、様々な学問関心から、フィールドに密着した調査を行うようになってきているのです。この研究会も、ベトナムを中心とする東南アジア大陸部において、フィールドワークを貴重とする研究を実施している人たちが、最新の現地情報と資料を持ち寄って研究発表を行う場となっています。
研究会の記録
第44回(2022年12月16日、於キャンパスプラザ京都+オンライン)
- 村上遥香(大阪市立大学大学院後期博士課程)「1980年代の東ドイツ企業に投入されたベトナム人契約労働者をめぐって」
※科学研究費補助金(基盤研究(B)19H04360)からの支援を得て開催
第44回(2022年7月16日、於京都大学+オンライン)
- 金知雲(京都大学大学院博士課程)「分断期のベトナム共和国における仏教運動」
第43回(2022年3月7日、於京都産業大学 町家学びテラス・西陣+オンライン)
- 徳安祐子(九州大学医学歴史館学術研究員)「精霊信仰と生活空間ーラオスの山地民社会における文化人類学的調査から」
- 関口洋平(畿央大学講師)「ベトナム学校教育カリキュラムの社会主義的編成原理ー小学校における『体験活動』を中心に」
※科学研究費補助金(基盤研究(B)19H04360)からの支援を得て開催
第42回(2021年10月3日、オンライン開催)
- 吉川和希(関西大学文学部助教)「19世紀におけるベトナム阮朝の地方支配の変遷―諒山省を中心に」
- 林貴哉(立命館大学 授業担当講師)「難民として来日したベトナム系移住者の移動とことば―カトリック教徒としての語りに注目して」
第41回 (2021年6月27日、オンライン開催)
- 田中あき(東京外国語大学大学院博士後期課程)「『反動』の役割を引き受けたベトナム語作家—自力文団カイ・フンの再評価」
- 宮沢千尋(南山大学人文学部教授)「「抗仏・親日」期のカオダイ教の神託と信者の動向―序論」
第40回(2019年12月1日、 於・キャンパスプラザ京都)
- 新井悠子(東京外国語大学博士後期課程)「仏領期ベトナムにおける『良妻賢母』の一考察」
コメンテーター:瀬戸徐映里奈( 東京福祉大学特任助教) - 上水流久彦(県立広島大学地域連携センター准教授)「台湾漢人の祖先祭祀の行く末ー少子化・現代化のなかで」
コメンテーター:櫻田涼子(育英短期大学准教授)
※科学研究費補助金(基盤研究(B)19H04360)からの支援を得て開催
第39回(2019年6月29日、 於・京都産業大学)
- 加納遙香(一橋大学大学院社会学研究科・博士後期課程/DC2)「ベトナム・オペラの創成—ベトナム民主共和国における文化構築」
- 伊澤亮介(滋賀短期大学特任講師/大阪大学大学院言語文化研究科・博士後期課程)「19世紀半ばから20世紀初頭におけるチュノムの字形について—民間資料と官製資料の比較から」
第38回(2018年7月14日、 於・京都産業大学)
- 加藤敦典(京都産業大学現代社会学部・准教授)「ベトナムにおける高齢者の居住形態の分析—ケアをめぐる家族/社会規範の形成と変容」
- 比留間洋一(星城大学リハビリテーション学部・准教授)「ベトナムの地域高齢者ケア制度をめぐる動向に関する資料—看護・介護論から」
コメンテーター
- 宮沢千尋(南山大学人文学部・教授/京都産業大学総合学術研究所・客員研究員)
京都産業大学特定課題研究(準備研究支援)「ベトナム村落の独居高齢者をめぐる家族規範の形成と実践の複相性:文化人類学的研究」との共催
第37回(2018年3月3日、 於・京都産業大学)
- 野上恵美(神戸大学大学院国際文化学研究推進センター・協力研究員)「認知症の認識とケアに関する調査報告―ダナンとホーチミンの看護師への聞き取りを中心に」
- 土屋敦子(神戸大学国際文化学研究科博士後期課程)「明郷のある家族とカオダイ教徒の関わり—ホーチミン市チョロン地区の明郷家族の祖先祭祀に関する調査報告から」
コメンテーター
- 前川真裕子(京都産業大学 現代社会学部 助教)
第36回(2017年10月29日、 於・京都大学農学部)
- 瀬戸徐映里奈(京都大学大学院博士後期課程)「在日ベトナム青年にとっての『本国帰還』—2010年代を日本とベトナムで生きる若者世代のライフコース選択」
- 小田なら(京都大学大学院博士後期課程)「南北分断期における『ベトナム伝統医学』の創出—ベトナム民主共和国における伝統医学の編制(1945〜1975)」
第35回(2015年8月2日、 於・国立民族学博物館)
- 加藤敦典(東京大学特任講師)「日本におけるベトナムに関する人類学的研究の特徴」
- 宮澤千尋(南山大学准教授)「ベトナム女性の伝統的財産権と祭祀財産相続」
第34回(2015年4月11日、 於・国立民族学博物館)
- ダン・ティ・ハー(関西大学大学院博士課程)「江戸時代日本と安南との通交関係について」
- 遠藤総史(大阪大学大学院博士課程)「大越の天下観とジェンダー」
第33回(2015年3月14日、 於・国立民族学博物館)
- チュー・スアン・ザオ(ベトナム人文社会科学院)「フックセン社ヌン・アンにとっての『ドイモイ』」
第32回(2015年1月17日、 於・国立民族学博物館)
- チュー・スアン・ザオ(ベトナム人文社会科学院)「ドイモイ政策下のヌン・アン文化」
第31回(2014年11月8日、 於・国立民族学博物館)
- チュー・スアン・ザオ(ベトナム人文社会科学院)「ドイモイの進展とヌン・アン社会」
第30回(2014年9月6日、 於・国立民族学博物館)
- チュー・スアン・ザオ(ベトナム人文社会科学院)「民族学的観点から見たヌン・アン」
第29回(2014年7月12日、 於・国立民族学博物館)
- 比留間洋一(静岡県立大)「岡村昭彦撮影のベトナム戦争写真の照合と分析」
第28回(2014年5月10日、於・国立民族学博物館)
- 伊藤まり子(国立民族学博物館外来研究員)「親密な他者と菜食実践―ベトナム北部の都市の宗教コミュニティを事例に」
- 末成道男(国立民族学博物館客員教授)「ベトナム中部における南宗(上座部)の浸透」
第27回(2014年3月22日、 於・国立民族学博物館)
- 土屋敦子(神戸大学大学院博士課程)「墓の継承と再発見―ホーチミン市第5郡のある明郷(Ming Huong)家族の墓を事例に」
第26回(2013年11月9日、 於・国立民族学博物館)
- 小田なら(京都大学大学院博士課程)「伝統医学の制度化―ベトナム共和国の事例から」
第25回(2013年9月14日、 於・国立民族学博物館)
- 田中浩典(東京外国語大学博士課程)「ベトナム.メコンデルタ地域の仏教と信仰についての一考察―乞士派寺院から見た仏教実践を通して」
第24回(2013年7月13日、 於・国立民族学博物館)
- 岡田雅志(大阪大学特任研究員)「タイダム(黒タイ)とタイソンダムの間―移動・拡散とエスニック・アイデンティティ」
第23回(2013年5月25日、 於・国立民族学博物館)
- 末成道男(国立民族学博物館客員教授)「中部ベトナム短期調査(サーベイ)見聞記」
第22回(2013年3月9日、 於・国立民族学博物館)
- 今井彬暁(総合研究大学院大学博士課程)「観光地サパの一村落における大通り上の経済活動の様態:民族間の差異に関する一考察」
- 下條尚志(京都大学ASAFAS博士課程)「集団化を回避する―集団化政策時代におけるメコンデルタ村落とベトナム国家」
第21回(2013年1月12日、 於・国立民族学博物館)
- 北沢直宏(京都大学大学院)「解放後ベトナムにおけるカオダイ教の分裂―宗教政策の影響から」
- 瀬戸徐映里奈(京都大学大学院) 「『食の確保戦略』からみるベトナム難民の定住過程―兵庫県姫路市を事例として」
第20回(2009年3月18日、 於・国立民族学博物館)
- 下條尚志(京都大学大学院)「サイゴン政権による領域国家形成―ベトナム中部高原における土地支配と山地民」
- 北沢直宏(京都大学大学院)「ベトナムの宗教政策―ドイモイ後の行政組織から」
第19回(2008年8月22日、於・ 国立民族学博物館)
- 佐藤まり子(総合研究大学院大学)「親密性が生成する社会空間―ベトナム・ハノイにおけるカオダイ教コミュニティ」
- 樫永真佐夫(国立民族学博物館)「東南アジア大陸部の書承文化に関する考察」
第18回(2007年12月8日、於・国立民族学博物館)
- 樫永真佐夫(国立民族学博物館)「黒タイ年代記『クアム・トー・ムオン』の継承について」
- 吉本康子(国立民族学博物館)「バニはローカルなムスリムか?―イスラーム化とシンクレティズムに関する一考察」
- 加藤敦典(大阪大学大学院)「政策の多声性―ハティン省の農村における小規模金融プロジェクトの場合」
第17回(2007年8月4日、於・国立民族学博物館)
- 佐藤まり子(総合研究大学院大学)「カオダイ教バン・チ ン・ダオ派における活動実態―80年聖会年次大会での報告を事例に」
第16回(2007年4月12日、於・国立民族学博物館)
- Eric Crystal(Group in Asian Studies) 'FROM HIGHLAND VILLAGE TO CALIFORNIA: HMONG AND MIEN MIGRATION ISSUES'
第15回(2007年4月7日、於・国立民族学博物館)
- 松井生子(広島大学大学院)「在カンボジア・ベトナム人の親族関係および祖先祭祀」
第14回(2006年7月15日、於・国立民族学博物館)
- 比留間洋一(静岡県立大学)「ロシアにおけるベトナム研究」
- 比留間洋一(静岡県立大学)「ロシア在住ベトナム人についての覚え書き―2006年3月モスクワ訪問の報告」
- 樫永真佐夫(国立民族学博物館)「黒タイの系譜認識」
第13回(2006年4月8日、於・国立民族学博物館)
- 飯國有佳子(総合研究大学院大学)「解釈される儀礼―ビルマ・仏教儀礼におけるジェンダーの非対称性と可変性-」
第12回(2005年4月15日、於・国立民族学博物館
- 樫永真佐夫「西北ベトナムにおける民族すみ分けの現在」
第11回(2005年2月5日、於・国立民族学博物館)
国立民族学博物館機関研究プロジェクト「テクスト学の構築」研究会との合同開催
- 樫永真佐夫「ベトナムの黒タイ村落における固有文字の継承について」
第10回(2004年7月3日、於・国立民族学博物館)
国立民族学博物館機関研究プロジェクト「テクスト学の構築」研究会との合同開催
- 中井潤子「ビルマのマイノリティ・ヒンドゥー教徒の宗教活動の政治性」
第9回(2004年5月8日、於・国立民族学博物館)
- 岡田雅志「18世紀ベトナム前近代王朝の異民族認識―<儂人>の分析から」
第8回(2004年4月24日、於・国立民族学博物館)
- 鈴木伸二「ベトナムのエビ生産コストはなぜ高くなるのか?―制度・言説・移民」
第7回(2004年1月17日、於・国立民族学博物館)
- 比留間洋一「ベトナムの村の暮らしと子どもの自然利用―紅河デルタ農村の事例」
第6回(2003年12月6日、於・国立民族学博物館)
- 中村真里絵「タイの農村工業研究序説」
第5回(2003年11月1日、於:国立民族学博物館)
- 松井生子「ラオカイ省高地の定期市研究の可能性―バックハーの事例から」
第4回(2003年10月11日、於・国立民族学博物館)
- 比留間洋一「クメールクロム研究文献解題」
- 樫永真佐夫「ターイの昆虫食―ベトナム西北地方の事例」
第3回(2003年7月5日、於・国立民族学博物館)
- 伊藤まりこ「聖職者の<語り>に表出するホー・チ・ミン―カオダイ教・ハノイ聖室の事例から」
- 吉本康子「チャムの機織りについて―ビントゥアン省バクビン県におけるチャム族の経済・社会・文化に関する研究の中間報告」
- 蓮田隆志 文献紹介 Dinh Khac Thuan 2001 "Qua Thu Tich va Van Bia" Ha Noi:NxbKHXH.
第2回(2003年6月17日、於・国立民族学博物館)
地域研究企画交流センター・東南アジア研究センター・アジアアフリカ地域研究研究 科連携研究「地域連関の構図」研究会との共催 「最近の文学作品が語るベトナム政治社会の変容」
- ファム・スアン・グエン(Pham Xuan Nguyen)「最近の文学作品が語るベトナム政治社会の変容」《通訳:森スアン》
第1回 (2003年5月17日、於・国立民族学博物館)
- 中田友子「縁組みをめぐる慣習の競合について―南ラオス・ンゲの村を例に」
- 樫永真佐夫「ターイ親族研究文献解題」
第2回「(仮称)インドシナ研究会」
(2002年3月30日、於・国立民族学博物館)
- 比留間洋一「ベトナムの幼児は家庭のしつけでどう育つか―発達観、discursive practices、しつけから」
第1回「(仮称)インドシナ研究会」
(2002年2月23日、於・国立民族学博物館)
- 樫永真佐夫「ベトナムの人口調査における住民分類」